人工関節専門外来

人工関節専門外来のご紹介

平成18年7月より、病診・病々連携の充実、また、当院の診療機能の充実、特化を目的として「人工関節センター」を開設しました。
(平成30年4月より人工関節センター⇒人工関節専門外来へ変更)

責任者 整形外科部長 奥野 誠


※詳細につきましては、博愛病院整形外科外来までお問合せ下さい。
 電話 (0859)29-1100(代表) 内線:1150

最近の手術実績

手術名 件 数
平成27年 人工関節置換術(膝・股・肩) 36件
平成28年 人工関節置換術(膝・股・肩) 26件
平成29年 人工関節置換術(膝・股・肩) 33件

人工関節手術実績

人工関節専門外来について

 人工関節手術は変形性関節症やリウマチで変形した関節に対する治療法の一つです。特に磨耗・破壊により強く変形した関節には効果があります。手術後は変形した関節は矯正されて痛みもなく、歩容が改善されるなどの利点があります。股関節では下肢の長さを調整することもある程度可能です。
 当院では奥野誠医師を中心に行っています。膝関節と股関節が主ですが、平成10年から手術件数が年次増加し、近年では年間手術がほぼ100関節となりました。平成18年7月には、奥野医師を長として鳥取県初の人工関節専門外来を開設しております。山本吉藏医師は昭和51年から現在までの30年間に約600関節の人工股関節手術の執刀経験を持ち、中村達彦医師とともに奥野医師を補佐しています。

1.人工股関節置換術について

 人工関節は耐用年数、言い換えれば、再手術をしないでいつまで役に立つかが最も問題になります。これは手術手技と共に人工関節の固定方法や使用機種により左右されます。人工関節の固定方法には、骨セメントで固定する方法と、骨セメントを使わずに螺子で固定する方法の二つに大別され、それぞれに多くの機種が開発されています。
 私達がこれまでに行って来ました人工股関節の種類とその手術結果(累積生存率)を図に示します。骨セメント固定によるチャンレ一式人工股関節(Charnley)は術後20年で80%近くが再置換を行わずに、痛みなく歩行が可能で経過良好です。骨セメント非使用・螺子固定の人工股関節は最初オステオニックス型(Osteonics)を採用しましたが、術後10年前後で人工関節に緩みが発生したため使用を中止しました。その後、S-ROM型を採用し、現在、最長10数年経過しましたが、未だ再置換を行なった症例は1例もなく経過良好です。
 人工股関節の機種と固定方法の選択は関節の磨耗・破壊状態により異なりますので、手術の前に詳しく説明し、患者様から了解が得られてから手術を行います。
また、再置換手術も他病院から紹介された症例を含め100関節以上の経験がありますので、既に人工股関節手術をお受けになった方で、痛みなどの症状でお困りのことがあればお気軽にご相談ください(山本吉藏)。  

全人工股関節手術成績 人工股関節には色々な機種があり、手術成績が異なります。
S-ROM:セメントを使用しない人工股関節。最長10年になりますが再置換手術は行っていません
Charnley:セメント使用した人工関節。術後20年で80%近くは再置換手術は行っていません
Osteonics:術後10年で30%再置換手術を行ったため、現在は使用していません
OA-Bipolar:人工骨頭を関節症に使用した症例ですが、結果が最も悪く現在使用していません
図 全人工股関節手術成績 (山本吉藏)  

2.人工膝関節置換術について

 人口の高齢化は、医療における整形外科的な疾患の分布にも変化をもたらし、「腰痛」・「肩凝り」に留まらず、「膝痛」も大きな比率を占めるようになりました。
 当院では平成10年から22年までの13年間に約800関節の「人工膝関節置換術」(TKA)を施行致しましたが、今回はその概要を説明します。

(1)膝痛・膝の変形の原因

長年にわたって膝を使い続けた結果、関節軟骨が磨耗した状態になる「変形性膝関節症(図1)や、関節の滑膜炎が骨・軟骨に波及して関節に破壊・変形を起こす「関節リウマチ」および転倒や捻挫、または骨折などで膝関節の靭帯や半月軟骨を傷めた後に生ずる「外傷性膝関節症」によるものが殆どです。図2に示したように「変形性膝関節症」では内反膝変形、「関節リウマチ」では外反膝変形を来すことが多いようです。
変形性膝関節症1図1変形性膝関節症2図2
  

(2)人工膝関節手術の目的・実際

 変形性膝関節症が原因で手術となった症例が実に87%を占めており、膝痛の原因が加齢性の疾患で、また女性に多い(88%)ことも特徴的です。
 さて、図3のような下肢のレントゲン写真で股関節と足関節を結ぶ線(荷重線)が膝関節の内側よりさらに内側を通るようになると立位や歩行の際に支障が生じます。この荷重線を膝関節の中心を通るように矯正すること(図4)、痛んだ関節軟骨を人工の関節に置き換えることがこの手術の目的です。
 図5のように変形した膝関節の骨・関節を大腿骨は側面から見てコの字形に、脛骨は前面から見て水平に切除した後、金属(コバルトクロム合金など)および超高分子ポリエチレンで作られた関節および軟骨部品を設置するのが、実際の手術の内容です。
人工膝関節手術前図3人工膝関節手術後図4

人工膝関節手術図5
  

(3)手術後(入院中)のリハビリテーションなど

平均的に、手術後3日目で病室内の歩行は可能になり、その後は1週間毎に平行棒、歩行器、杖などを段階的に使用する訓練を進めます(図6)。手術後4週を経過すると殆どの場合、1本杖を使っての平坦地歩行が可能になり、さらに可能な限り階段や段差の昇降訓練なども行って、退院後の日常生活動作を保障できるように致します。
リハビリテーション図6
  

(4)退院後の生活

 「人工膝関節置換術」の最大の欠点は、欧米で開発された製品のため日本式の「正座」が不可能なところです。しかし、手術術式や関節部品のデザイン改良がなされ、横座りが可能な程度の膝屈曲(120°くらいまで)が得られるようになったこと、また我々日本人が欧米式の生活を取り入れて洋式トイレや椅子式の生活をするようになったことと相俟って「正座」動作まではこの手術には要求されないという考えが一般的です。
 「退院後も病院に通院するのか。」という質問をよく受けますが、手術後1年までは3、6、12ヶ月目に定期健診として血液検査とレントゲン検査に来院して頂きます。それ以降は、年1回か2回の受診で十分であり、最大の関心事である「人工膝関節の耐用年数」については「15年から20年を目標に・・・」とお答えしています。
 人生80数年が一般的となり70歳代の前半でこの手術をお受けになったとしても、充分にQOLの向上につながると考えます。

(奥野 誠)

外来診療担当医

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