病院長メッセージ

ACCCA and A
ようこそ博愛病院のホームページへ

博愛病院 院長
櫃田 豊

 この度、10月1日より病院長に就任いたしました櫃田 豊と申します。私は1980年に鳥取大学を卒業しました。同附属病院で20年間程呼吸器疾患診療に従事した後、2005年からは日野病院で約10年間病院長職を務めました。医師数に限りがあった日野病院では、現場の比重が高く、呼吸器疾患のみならず広く内科疾患を対象とするプライマリー・ケアを実践してきました。

2025年問題とその対応

 さて、ご承知のように、800万人とも言われる団塊世代が75歳となる2025年には高齢患者さんが激増します。米子市でも医療需要は現在の1.09倍、介護需要は1.36倍になると予想されています。いわゆる2025年問題です。
 この社会保障上の深刻な問題を乗り越えるための切り札として、国は在宅医療、在宅介護の普及を推進しています。そして現在、それらを実現するための重要な2つの政策、地域医療構想と地域包括ケアシステムの構築が進行中です。近い将来、患者さんは入院中は高度急性期→急性期→回復期→慢性期と4つの医療機能をスムーズに移行し、退院後には在宅で生活支援・医療・介護・予防などが一体的に提供されるようになると期待されています。
 現在、鳥取県でも地域医療構想調整会議などで二次医療圏ごとに医療機能の再編が議論されていますが、どのような医療機能を分担するかは各医療機関の自主性に任せられています。鳥取大学医学部附属病院、山陰労災病院、米子医療センターが急性期医療を志向する中、博愛病院は従来の総合病院から医療と介護を組み合わせたケアミックス病院への道を選択しました。

ACCCAとは

 博愛病院がケアミックス病院として米子市民から選ばれる病院であり続けるためにはどうすればよいのでしょう。少なくとも、その条件は他の急性期病院では異なると思われます。私が考える住民から選ばれるケアミックス病院の条件は、ACCCAと呼ばれる米国医学研究所(Institute of Medicine)が提唱したプライマリー・ケアの5つの理念と一致します。
 すなわち、Accessibility(近接性):近隣の住民が(地理的)、いつでも(時間的)、気軽に(精神的)受診できる、Comprehensiveness(包括性):性別や年齢、臓器にとらわれることなく診療を行い、病気の治療のみでなく、予防(ワクチン接種など)、リハビリテーションにも取り組む、Coordination(協調性):チーム医療を展開し、他の医療機関と連携したり社会資源を適宜バランスよく用いるとともに、地域住民と協力して健康問題に取り組む、Continuity(継続性):.病気の時も健康な時も、病院あるいは主治医としてゆりかごから墓場まで患者さんに関与し続ける、Accountability(責任性):充分な説明の中で患者さんとの意思疎通を行い、診療内容の質の維持、見直しはもちろんのこと、生涯教育や後進育成についても責任をもつ、です。

もう一つのA

さらに、私としては、これらACCCAにもう一つのAを付け加えたいと思います。それは、Adaptability(適応性)です。前述した2025年問題は医療提供体制に大きな改革をもたらすだけでなく、医療に携わる者全てに医療モデルへの意識変革をも求めています。すなわち、「治療モデル」から「生活モデル」への移行です。「生活モデル」とは、病気を治そうと努力するより、病気を障害と捉え、残された機能をできる限り活かそうとする考えです。このような医療提供体制や医療モデルの変化に適応するためには、組織を変え、自分自身を変えるしかありません。「生き残る種というのは、最も強いものでもなければ、最も知的なものでもない。最も変化に適応できる種が生き残るのだ」というダーウィンの言葉を思い浮かべながら、この激動の時代を乗り切っていきたいと考えています。

 Autumn 2016